京都工芸繊維大学 都市・建築遺産論研究室
Kyoto Institute of TechnologyUrban&Architectural Heritage Laboratory

Research

Research Unit

古代建築ゼミ

古代建築の造形原理、設計・施工方法、技術的特質を「造る立場」から再検討。

2013年度〜 (管理者:清水)

日本及び東アジア各国の古代建築(6世紀〜12世紀頃の建築)を対象に、その造形原理、設計・施工方法、技術的特質を検討していくことを目的に研究を実施しています。

古代建築は現存遺構の棟数が限られており、また保存修理においても明治以降に複数度の解体修理を経ていることもあって、実物に基づく様式や技術の研究は高い解像度で進められてきました。もはや行うべき研究は残されていないと思われている節もあります。しかし平城宮跡における建造物復元事業にともなう古代建築研究の中で、新たな視点から古代建築を見つめ直すことが進められつつあります。それが、「造る立場からの研究」というものです。古代建築の研究は、構造、意匠、技法の側面ごとに細分化されて緻密に行われてきましたが、設計方法、施工方法といった全体的な視点に立った研究は意外に抜け落ちていました。上部構造が失われた遺跡における復元事業は、様式だけでなく、技術だけでもない、それらを総合して「造る立場」に立った視点が求められるところに大きな特徴があります。この事業は古代建築がいかに造られたかを深掘りすることで初めて推進できるという側面を持っており、副産物として新たな古代建築研究の視覚を生むこととなりました。

本ゼミではこうした視点に立ち、古代建築を「造る立場」において捉え直し、新たな技術研究を推進していくことを目指して活動しています。

運営方法

現在は清水の個別研究テーマに従って、清水及び朱を中心に研究室メンバーとの共同により各研究を推進しています。日本国内の古代建築や遺跡の現地調査を随時行うと共に、他の研究テーマと合わせて中国、韓国の古代建築、遺跡の現地調査も行っています。両国の研究者との交流も積極的に行います。現在の外部資金として、清水が研究分担者を務める2件の科研費・基盤研究(A)(「『建築古材博物館』―法隆寺建造物古材を基点とするデータベース構築―」(研究代表者横山操氏)、「アジアにおける工匠関連史料にもとづく建築生産史の再構築と技術蓄積・伝播の解明」(研究代表者海野聡氏)がこの研究と関連しています。

研究事例

法隆寺金堂の技術研究清水が前職の奈良文化財研究所在籍時から継続。法隆寺金堂における規格材の多用についての論考を発展させて、法隆寺金堂の技術特性を検討。また現在、法隆寺・文化庁が主導し、昭和24年に火災にあった法隆寺金堂の焼損壁画の公開に向けた研究が進められている。そのWGに清水が委員として加わり、建築史学の立場から公開のための検討を進めている。
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元興寺五重小塔と古代の塔に関する研究2024-2025。元興寺文化財研究所の客員研究員として研究協力を進めている。その一環として、国宝元興寺五重小塔の調査研究を開始。東大寺東塔の復元研究に対する疑義。この五重小塔が重要な役割を果たしているが、この建造物に対する資料批判が厳密に行われていない状況があった。3Dスキャンにより部材寸法の揺らぎを正確に把握。
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日中古代建築の様式と技術に関する比較研究日本と中国の古代建築の比較研究。特に組物と屋根架構の詳細を比較。中国山西省に定期的に調査に出かける。また閩南地方(浙江省、福建省等)にも調査。様式の比較がなされてきたが、構造的観点から両者を比較する研究を継続。様式の成立根拠を構造的観点から検討。中国で古代建築研究が盛んな天津大学、清華大学、東南大学、福州大学、華南理工大学の各研究者と積極交流。令和8年10月には、日中の研究者が前近代東アジア建築史についてのゼミのような密度で議論する「東アジア前近代建築・都市円卓会議」の第5回を本学で開催。
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平等院鳳凰堂と鳳凰堂模倣建築の造形原理に関する研究個別の建物研究として、平等院鳳凰堂における中堂と両翼廊の関係についての研究を実施。平安時代後期には鳳凰堂を模倣、参照した建築が多数建てられたが、これらの形式は厳密には明らかとなっておらず、鳳凰堂の形式をほぼ踏襲したものと想像されている。しかし中堂と両翼廊の関係、特に雨仕舞を検討することで、実は鳳凰堂類似建物の形式が鳳凰堂自体とは異なるものが多くあったことを明らかにした。関連して、平泉の無量光院、鎌倉の永福寺の発掘遺構の復元再解釈も行なっている。
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